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産業ケアマネとは?

産業ケアマネとは?

産業ケアマネは、仕事と介護の両立を専門に支えるケアマネジャーです。家族の介護を抱えながら働く社員と、その社員を雇う企業のあいだに立ち、両方にとって無理のない形を一緒に探していく「社外の伴走者」のような存在です。

もともとケアマネジャー(介護支援専門員)は、要介護のご本人やご家族に寄り添い、介護保険サービスの利用計画(ケアプラン)をつくる専門職です。その中でも産業ケアマネは、「働く人の実情」「企業の人事制度」「介護保険や地域の支援制度」の両方に精通し、職場の中と介護の現場を橋渡しするプロフェッショナルとして位置づけられています。

1. 産業ケアマネって、どんな専門職?

産業ケアマネは、ケアマネジャーとしての専門性に加えて、「企業で働く人」を支える視点を持っています。介護を抱えた社員が、仕事か介護かを一方的に選ばされるのではなく、働き続けるための道すじを一緒に考える役割です。

介護の専門知識だけでなく、就業規則や人事制度、働き方の工夫などにも目配りしながら、その人らしい働き方と家族の暮らしを両方守るための現実的な選択肢を整理していきます。

2. 産業ケアマネは、会社と社員のために何をしてくれるの?

産業ケアマネの仕事は、難しい制度を説明するだけではありません。「この人が、この職場で働き続けるには、何が必要か?」を一緒に考え、具体的な一歩に落とし込んでいきます。

社員からの個別相談を受けとめる
「親の介護が急に始まった」「いつまで在宅でみられるか不安」など、誰にも言えずに抱えている悩みを、安心して話せる場をつくります。社員の気持ちや家庭の事情を丁寧に聞き取り、整理していきます。

介護サービス・公的制度の“地図”を一緒に描く
介護保険サービス、地域の相談窓口、医療・福祉サービスなどを整理し、社員の状況に合った選択肢をわかりやすく提案します。「どこに相談すればいいか分からない」「何から始めればいいか分からない」という状態から、一歩踏み出せるようサポートします。

会社の制度や働き方の選択肢を整理する
介護休業・介護休暇・短時間勤務・在宅勤務など、会社にある制度や働き方のパターンを整理し、「どれをどう組み合わせれば良いか」を一緒に考えます。企業側のルールと本人の希望の両方を踏まえた「現実的な落としどころ」を探ります。

本人・上司・人事の“対話”をサポートする
本人が一人で言い出せないことを代弁したり、会社側の事情も踏まえながら、三者で合意できる働き方をコーディネートします。「言いづらさ」や「伝わらなさ」からくる行き違いを減らし、お互いが納得しやすい話し合いを支えます。

必要に応じて専門家につなぐ
助成金や就業規則の見直し、相続・遺言など、介護に伴って出てくる法律・お金の不安については、社労士・弁護士・税理士などの専門家への橋渡しも行います。ひとつの窓口から、必要な支援につながっていけることが、産業ケアマネの大きな強みです。

3. なぜ、いま「産業ケアマネ」が必要なのでしょうか?

日本ではいま、親や配偶者の介護を理由に仕事を辞める人が毎年のように出ています。仕事をしながら家族の介護をしている「ビジネスケアラー(ワーキングケアラー)」も増え続けており、多くの企業で次のような状況が起きています。

40〜50代の中核社員が突然退職してしまう。介護の負担から体調を崩し、長期休職につながる。介護を抱えた社員が、限界まで黙って頑張ってしまい、「もう無理です」と打ち明ける頃には選択肢が限られている。こうしたリスクは、どの企業にも起こり得る身近な問題になっています。

制度やマニュアルだけでは、個々の家庭事情まではフォローしきれません。そこで、介護の現場と企業の両方を理解した専門職である産業ケアマネが、社員一人ひとりに合わせた支援を行う役割を担っています。

4. 産業ケアマネ事業所とは?

産業ケアマネ事業所は、産業ケアマネが所属し、企業と連携して両立支援を行う拠点です。介護保険の知識だけでなく、企業の人事制度や法令・ガイドラインにも目を配りながら、社員と企業の両方を支えることを目的としています。

ケアマネジャーとしての実務経験と、産業ケアマネとしての知識やスキルを合わせ持つ人材が所属し、地域の医療・介護機関や行政、NPO等とのネットワークを活かして、社員を適切な支援先へとつなげていきます。企業向けのコンサルティング、研修、個別相談窓口などをパッケージとして提供できるのも特徴です。

「介護のことを、どこに相談したらいいか分からない」という状態をなくし、「介護と仕事の両立については、産業ケアマネ事業所に聞けばいい」という安心の窓口になることを目指しています。

5. 企業にとっての「産業ケアマネ事業所」の価値

産業ケアマネ事業所とつながることで、企業はさまざまなメリットを得ることができます。

離職・採用コストの抑制
中核人材の介護離職を防ぎ、慣れた社員に働き続けてもらうことは、人材投資の損失防止に直結します。採用や教育にかけたコストを守ることができます。

欠勤・長期休職の予防と、復職・定着の支援
早期の相談・調整によって、「限界まで我慢した結果の突然の休職・退職」を防ぎます。必要な休職からの復職・定着までを見通して支援することで、現場の混乱も小さくできます。

管理職・人事の負担軽減
個別ケースの相談相手として産業ケアマネが入ることで、「一人で抱え込むしかない」という状況から解放されます。判断に迷う場面で第三者の専門的な視点を得られるため、管理職や人事担当者の心理的負担も軽くなります。

法令・ガイドラインへの的確な対応
育児・介護休業法や働き方改革関連の動きなど、変わり続ける制度への対応を、現場の実務に落とし込む形でサポートします。「形だけの制度」ではなく、「実際に使われる制度」に育てていくことができます。

「人を大切にする会社」としての信頼向上
社内外に向けて、「介護と仕事の両立を支える仕組みがある」ことを示すことは、採用力の向上や既存社員のエンゲージメント向上にもつながります。従業員とその家族を大切にする企業としてのブランド価値を高めることができます。

6. こんなときこそ、産業ケアマネ事業所へ

社内で介護離職が気になり始めているとき。介護に関する相談が増えているが、人事・管理職だけでは対応に限界を感じているとき。制度は用意したものの、ほとんど使われていないとき。管理職が「部下から介護の相談を受けたが、どうしたら良いか分からない」と悩んでいるとき。

将来に向けて、介護と仕事の両立支援を「会社の当たり前」にしていきたいと感じられたときこそ、産業ケアマネと産業ケアマネ事業所が、企業と社員のあいだに立って、一緒に答えを探すパートナーになります。